読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

mgudn's

髷であり曲げでもある。

【将棋】 第三回電王戦 総集編

電王戦

楽しかった電王戦が終わり、色々な方が発言する中で、

余り言及されていない部分が有ると思ったのでそこら辺りを書いておく。

 

個人的には、日刊スパ 坂本氏の記事が良かったと思う。(毎回クオリティが高いです。)

 

第3回将棋電王戦全5局を総括。「1勝4敗」の意味するものとは? | 日刊SPA!

http://nikkan-spa.jp/626805

 

では、初戦から

◆第1局 ●菅井竜也五段vs○習甦

端的に言えば菅井さんらしくなかった。

普段の彼は思い切り良く攻撃的なので、先手を持って受ける展開は慎重になりすぎている

と思って見ていたが、習甦の指しまわしが素晴らしく敗れ去った。

会見での 「 (今日の)習甦との将棋は、本当に、力負けというふうに感じました。 」

の発言を切り取って記事を書かれる事があるだろうが、

今日のという部分を菅井さんは、省略して発言している。

練習対局で95勝97敗 だったと述べているので、実力的には五分だった事は

間違い無い。

又、習甦は去年から格段に強くなったか?と言われれば、そうでは無い

と思っている。 西尾六段が解説をしていた頃から見ているが、十分に強いソフトである。

 

◆第2局 ○やねうら王vs●佐藤紳哉六段

第一局に引き続き、居飛車 対 振り飛車 の対抗形。

おいらは、対抗形でコンピューター将棋が強い理由とは、

研究が先行しているコンピューターチェスの技術を最大に参考に出来るから

だと思っている。 基本的に振り飛車の玉周辺の駒はパターンが少なく(固定化されやすい)

それに対応する駒の配置を考えれば良いというのは計算力を最も発揮しやすい

部分だと思っている。

佐藤さんの継ぎ歩の見落としは相居飛車なら良くある手筋なのだが、

対抗形で現れる事は少ないのでそのせいなのかな?と思った。

振り飛車党の棋士の活躍は電王戦では厳しいだろうが、

居飛車の様な感覚で振り飛車をやっている藤井九段がどう指すかには興味がある。

 

◆第3局 ○豊島将之七段vs●YSS

大会開始前に最も勝つ確率が高いと思われていた棋士が豊島七段で、

実際、前評判通り勝った訳だが、

△62玉については【将棋】 ソフト貸し出しの是非 - mgudn'sでも書いたが更に一言。

 

第三局終了後、 菅井、豊島が△62玉型を採用して勝利を収めて

コンピューター将棋から学んでいると思われがちだが、

 

実は、優勝賞金1000万の大会の決勝戦で羽生三冠が△62玉を指して勝った

事が先にあって、コンピューター将棋が△62玉を指すからという以前に

棋士なら必ず考えておかないといけない形ではあったのだ。

2014年2月8日 決勝 羽生善治三冠 対 渡辺明二冠|第7回朝日杯将棋オープン戦

豊島さんに関しては、午前中に羽生三冠と対局して敗退。 

決勝はこの対局の解説も一部行っている。

 

おいらは大方の予想とは違って豊島さんは負けると思っていた。(スイマセン<(_ _)>)

理由として、普段の彼はじっくりした指し方を好み、じわじわ優位を拡大して勝利を収めている

印象を持っていたので、こんな激しい将棋で戦うとは思っていなかった。

菅井さんがそのタイプだと思っていたので、豊島さんには良い意味で裏切られた。

 

◆第4局 ○ツツカナvs●森下卓九段

第三局とは逆に戦前に一番分が悪いと思われていた森下さんだが、

おいらは良い勝負になると思っていた。

理由は単純明快。 タイトル戦の経験があるからだ。

一般棋戦と比較してタイトル戦は関わっている人数がべらぼうに増える。

前夜祭に始まって解説会やお世話になる宿の関係者や観戦記者などなど。

そういった周りの期待や思惑を感じた上で、自分の実力を出し切る事は

経験が必要なのだ。

終局後の盤・駒使用の是非はともかく 言ってる内容は他の何人かが同じ事を言っている。


米長邦雄永世棋聖インタビュー 第2回将棋電王戦 ‐ ニコニコ動画:GINZA

  9:20秒頃からの発言 菅井五段の10年後には人間の方が強い発言、

渡辺二冠の 今のTOP棋士が技術的に5割勝てない状況は想像できない

が思い浮かぶ例。

 

要するに、コンピューター将棋は強いんだけど、現状、プロ棋士が知らない

(見落としている含む) 手法があってそれを理解する事で、技術的に

引き離される一方になるとは思えない と言っているのだ。

森下さんは更に強気で今までの技術だけでも十分に勝てると思っている

と言ったに過ぎない。

 

◆第5局 ●屋敷伸之九段vs○Ponanza

 ポナンザの△16香や△79銀の攻めや敗着となった81成香がクローズアップされているが

実際、屋敷さんの最大のミスは53手目の65桂だったと思う。

跳ねた桂馬をただで取られてしまった訳で、その後に94歩と端攻めをするのなら

桂馬は85の方が効いている。

ミスと認めた上で、それでも攻めるなら端しかなかったのかも知れないが、

その後の展開でも形勢は難しいと言われている以上、52手目までは屋敷優勢だった事

までは確定したと言って良い。

 

電王戦第5戦。

2014-04-12 | 将棋
 

ニコ生に出た後は将棋会館に行って検討していました。△16香や△79銀など、人間には浮かばない手がいくつか出ました。これが最善だったかどうかは今は分かりませんが、とんでもないものを見た、という気分です。詳しくは取材を受けたりすると思いますし、週刊新潮のコラムでも取り上げる予定です。

 

 

 

また、角を取って成香が玉を追い寄せた末の△79銀は

【将棋】 Ponannzaの作り方 - mgudn's でも述べたが玉の回りの駒を取る事を優先する

ポナンザの癖(トータルバランスでの特徴)が出た指し手だったと思っている。

 

渡辺二冠の 『 とんでもないものを見た 』 という発言を変な切り取り方をしている記事も

見かけましたが、人間との感覚の違いを指摘している発言だと思われる。

特に△79銀はこう考えれば良い。

 

二人で殺し合いをして、相手(屋敷玉)を逃げ場の無い隅に追いやっている状況。

手元にはナイフ(銀)、足元には石礫(歩)この時に

先にナイフを投げる(△79銀)のは無いんじゃないの?と渡辺二冠は言っている訳だ。

ナイフが必ず当たって相手を倒せるならまだしも、避けられる(97玉)しねぇ。

それなら先にバリケード(△96歩)を作って更に追い詰めたり、少し離れた場所にある

拳銃(角⇒馬)を手元に持ってくる方が先なんじゃないの?

ポナンザは世界最強クラスと聞いていたのに、こんな戦い方を選ぶんだぁ・・・って感じ。

 

そりゃ 『 とんでもないものを見た 』 って言うと思うわww

 

後、△16香に関しては、攻めの手ではなく、受けの手で見た場合、

73手目の段階で、屋敷さんの持ち駒の飛車二枚を有効に使えそうなスペースは無く

間駒要員の桂馬は使い辛い。

 

 

さて、第三回電王戦を見て感じた事は、やっぱり技術的な勝負では

プロ棋士とソフトはかなり似通ったレベルにいるという

おいらの戦前の予想から1ミリも変動が無かった。

間違いなく言える事は、解説に来ていた船江さんのコンピューター将棋が指してくるであろう

手の予測が、格段に上がっていた事である。

 

 開幕以前にルール作成について

電王戦ルール - mgudn's で書いたが、やっぱりというか、当然というか

f:id:mgudn:20140421201402j:plain

 これが実現された。

なので、当然ながらクラスタ化をOKする電王戦はタイトルホルダーとの番勝負という

スペシャルイベントをやらない限り無い。

 

コンピューター将棋の特徴を電王戦参加棋士以外にも、それなりに理解が進んでいる

状況なのは間違いない。

しかし、出た棋士と出ない棋士との認識はまだ大きく、この差が少なくなる様

連盟には手を打って欲しいものだ。

具体的に言うと、練習対局で出場棋士が逆転負けをしたと感じた棋譜

収集しておいて、棋士間だけで良いので公開すると良いと思う。

 

そここそが、棋士が知らない手筋が埋もれている可能性が非常に高く、

棋士のサポートと言う意味ではかなり大きい部分になると思う。

それは公表する必要は無く、イベントで棋士がコンピューター将棋の指し手について

語ったりする際に資料として一部使ったりすれば良いと思う。

 

当然だが市販のソフトとの対局まで範囲を広げる必要は無い。

 

前回の阿部さんの取り組みや今回の豊島さんの対応はプロとして

素晴らしいとは思うものの、負担が大きすぎる様に思う。

連盟として出場棋士に負担を軽減する策は是非取って欲しい。

場を整えて後は、対局者にお任せという対応では足りないとおいらは思う。

通常、技術を習得するに当たっては長い年月を要する。

個人に任せて技術習得を促すのでは、コンピューター将棋の進化に追いつける訳が

ないので、逆転負けの棋譜棋士の共有財産にするべきだと述べたのである。

 

 

電王戦は、将棋に興味の無かった人にも訴えれたコンテンツなので、

従来の様な書籍によるものだけではなく、その場で質問も受け付けれる

将棋イベントでこそ話題にするべきで、棋士の対策の考え方やコンピューター将棋の

具体的な良さを語る場を、連盟主導で開催するべきだと思う。

又、その際にはソフト開発者も可能なら一緒に出て頂いたりして、共存共栄の形を

模索しつつ、その過程も広く知らしめるべきだと思う。

 

 

大事な事は、 違う技術を持った強いソフトが現れたのでプロ棋士全体が

その技術を解明したいと望んでいる事を強く訴えるべきだと思う。

勝敗が重視される事は重々承知しているが、プロ棋士として

我々が知らない将棋の技術が有る事を知る機会が無くなる事の方が耐え難い。

だから次回も電王戦を行う! ぐらいの事を谷川会長に言って欲しいものです。

 

その上で、今は曖昧になっている対局時の電子機器の持ち込みに関する

規制をきっちり作る事も必要になって来ているでしょう。

 

将棋は最終的に自分の予想しない展開になるので、TOPの棋士や、TOPを目指している

若手の棋士カンニング的な事をやる事は無いでしょうが、

(そんな事をやれば困った際にすぐ頼りたくなってしまうでしょうから)
ソフトは中位以上と言ったからには、下位の棋士に関しては有効だと認めたも同然なので
なんらかの施策は必要でしょう。

 

単純にどちらが勝つのかとか、前回と合わせて2勝7敗1分け  なのだから負けを認めろ

だとか、タイトルホルダーを出せ  などという意見がある中で、勝敗だけに

スポットを当てる手法ではこの先長く続ける事は出来ない。

 

連盟の舵取りにも注目したいと思います。