【将棋】 ソフト貸し出しの是非
第三回電王戦第三局で豊島七段が快勝した事で
再び言われる事が増えるであろうソフト貸し出しについて。
この所、電王戦のエントリーが続いているが、 『 羽生さんの強さに迫る 』
という内容で書きたい事が前からあって、そこに対局における事前準備についての考察
というトピックで書く内容と多少被る予感がするが、まあしょうがねぇ。。。
おいらは基本的に貸し出しは必須と考える。
以前書いた様にコンピューター将棋のレベルは出場ソフト全てプロ棋士と
良い勝負をするし、ソフト間の差も戦型がランダムで選ばれる事が多い以上
一方的に勝てる程、離れてもいない。
現状、プロ棋士側はタイトル戦並の舞台でやるプレッシャー、
人間には思いつきにくい手を指される事、
負けるとプロ棋士の存在意義に関わるという不安を持って対局している。
又、開発者側はプログラムが不備なく終える事、
プロ棋士の定跡の進化に怯えている。
その上、現在のプログラムの強さに対する認識が低すぎる。
(三浦さん相手に完勝出来る棋士などほんの数名だけである)
どちらが強いのかという事を別にして、少なくとも良い勝負をするのは
間違いない訳で(実力が近い)、そうなると無策で対局に臨むというのは
もう、有り得ない。
ここが難点なのだが、コンピューター将棋の場合
プログラムに手を加えると、以前の性格?とはまるっきり別の物になりかねない部分があって
実際問題、本番と違うもので研究する事に意味があるのかどうかさえ怪しい。
阿部、豊島の勝ちを嵌め手と言うなら、ツツカナの74歩も嵌め手だし
Puelaα の代わりにボンクラーズを貸し出すのも嵌め手でしょ。
(貸し出したソフトでの研究を無意味にする意味での嵌め手)
そうなると人間が短期間で急激に変わる事は少ないので
ソフトを固定する事に行き着くのではないだろうか?
なぞり将棋 - mgudn's を心配する方にはこう言いたい。
第二回の阿部四段は将来有望です。
プロ入りの年齢が16歳5ヶ月というのは史上6番目の若さで、
若年でプロ入りした方は前例だとタイトルを獲得しています。
(但し、凄く近い年齢で佐々木勇気五段がいて彼が阿部四段より若くプロ入りしている
ので佐々木が阿部を圧倒する事でタイトルには届かない可能性も多少有る)
その彼が練習で数百局、本番と同じ持ち時間でも多数指した上で
対局に臨んだにも関わらず、本番では違う進行になったのが事実である事を。
そこから自分の想定局面に近い場面に持ち込んだのは阿部四段の技術です。
先日の豊島七段で言えば 62玉の局面では、
前例が後手の2勝0敗だった局面で、先手を持って勝った
事が事実であり、YSSを貶める必要は全く無いのである。
コンピューターには先入観が無いのに、それについて人間が先入観で語っては
正しく評価できないのではないでしょうか?
第二回の時はまだ世間の認識として力関係を断言出来る程の物証が無かったので
貸し出さないという展開もあり得た。
繰り返すが、三浦九段相手に無策で勝てる棋士などほんの数人である事は間違いなく、
GPS将棋がコンピューター将棋選手権を無敗で優勝した訳でもないので、
ソフトの実力はプロ棋士と、どちらが上か判らないぐらいには近い事を前提とすると、
第二回電王戦ではどちらが強いか良く判らなかったのでソフト有利のルールで行った。
結果 、実力的に差は無いので、ソフトの有利な分だけ差し引いた。
第二回からすると棋士が有利になった様に思えるが、冷静に見て
公平に近付いたとも言えると思います。
一部で順位戦やコンピューター将棋の参加する棋戦が見たいとの声を聞きます。
しかし、残念ながらその場合ほとんどの棋士が入玉から駒取り合戦をして勝つと思います。
又、そうしない棋士はプロとして失格とも言えます。
見て楽しい勝負にはなりませんので空想だけに留めておきましょうw
棋力がどちらが上なのかはこれからの電王戦で更に明らかになるでしょう。
コンピューターによる新手も現れると思います。
我々はそれを楽しみに見れば良いのです。
こういった時代の転換期に生きているのは単純に面白い。