【将棋】 羽生善治の現在 ~羽生と電王戦~
当たり前の話だが、棋士であれば、電王戦と自身との関係は考えざるを得ない。
歴史上最高の棋士であろう羽生さんも当然の如く影響を受けている。
それは対戦相手としての自分が出る場合とコンピューター将棋の特性を
自分にどう取り入れるか?の2パターンがあると思っていて、
ここでは後者の事についてのみ書き綴ってみる。
正直、前者は無いと思う。あれば見たいのは勿論だが、
仮に勝った所でそれで終わる訳ではあるまい。
翌年も続き、負けるまで終わらない。そこにはもう意味がないと思うから。
過去の羽生マジックと言われる手を全部コンピューターが上位候補に挙げられるならば
それでもう勝ちで良いじゃんって感じですね。
さて、本題。
名人戦での将棋を見て、森内さんの待ちの戦術に羽生さんが
暴発ぎみに攻めて負けるパターンのが何年か続いている旨の事を思っている方が
そこそこ居た様に思いますが、当然、本人も自覚してやっています。
2手目△6二銀は損だが、どれぐらい損であるか見極めるために指した。どれだけ損であるかがわかったので、もう指すことはない。 Wikiより引用
こんな事言う人ですからねwww
将棋の歴史に残るような絶妙手は、普通は有り得ないんだけど、
例外中の例外で有り得る局面で出る手なので、羽生さんが可能性を感じた際には
強引に攻めていた時期がありました。
但し、これってほぼ中盤での話だったんですよね。
ところが最近は終盤に入ってから、ここで勝ちが有りそうって局面から
一気に勝負を付けに行って、失敗する例が見受けられます。
安全勝ちを捨てていると言っても良いでしょう。
最近の例では、木村八段との王位戦や、糸谷七段との竜王戦挑決。
あの将棋を見て、羽生さんの終盤が衰えたと勘違いしては駄目ですよw
あれこそが、羽生さんがコンピューター将棋の特性を取り入れている部分ですから。
コンピューターには恐怖感って無いですからね。
相手がコンピューターと言う状況を想定するなら、
怖いから安全にと言う思想は既に敗北という棺桶に足を入れている状態だとでも
思っているんじゃないでしょうか?
渡辺二冠が 『 羽生さんだって流石に全て読み切って指している訳でも無い
はずなのに、勝ちに近づく手を選び取っている 』
と言う旨の発言をしていた事が有ったと思いますが、
合理主義者の渡辺さんは安全に勝てる場合は徹底して安全策を取る方ですし、
勝ちか負けか判らない場所へ平気で飛び込んでいく羽生さんとそういった場面で
差が出るのは、経験値の差じゃないですかね?
但し、渡辺さんの強みは徹底した合理性にあるので、そこで勝負せざるを得ない
状況になる事自体が不本意なんでしょうけどね。
後もう一点。
コンピューター将棋は基本的に一番評価の高い手を選びます。
そこで羽生さんは序盤であえてプラスの手を指さない事にも取り組んでいます。
【将棋】 羽生善治の現在 ~羽生と研究~ - mgudn's
でも触れた手待ちの概念とかですね。
コンピューター将棋はあえてプラスを選ばないという事は出来ませんので、
人間同士の対局でしか現れない将棋をファンに見せたいとも思っている様です。
今期の名人戦はそういった狙いも持ちつつの将棋だったとおいらは理解しています。
ここ数年で勝ち方が有り得ないほど鋭い将棋も何局か見受けられますし、
羽生さんの中でそのギリギリのバランス感覚を構築出来た際には
どうなってしまうんでしょうか?
『 直感は経験から出来ている 』 『 運命は勇者に微笑む 』
という自身の発言を体現して欲しいと思います。