mgudn's

髷であり曲げでもある。

【将棋】 第三回電王戦 総集編

楽しかった電王戦が終わり、色々な方が発言する中で、

余り言及されていない部分が有ると思ったのでそこら辺りを書いておく。

 

個人的には、日刊スパ 坂本氏の記事が良かったと思う。(毎回クオリティが高いです。)

 

第3回将棋電王戦全5局を総括。「1勝4敗」の意味するものとは? | 日刊SPA!

http://nikkan-spa.jp/626805

 

では、初戦から

◆第1局 ●菅井竜也五段vs○習甦

端的に言えば菅井さんらしくなかった。

普段の彼は思い切り良く攻撃的なので、先手を持って受ける展開は慎重になりすぎている

と思って見ていたが、習甦の指しまわしが素晴らしく敗れ去った。

会見での 「 (今日の)習甦との将棋は、本当に、力負けというふうに感じました。 」

の発言を切り取って記事を書かれる事があるだろうが、

今日のという部分を菅井さんは、省略して発言している。

練習対局で95勝97敗 だったと述べているので、実力的には五分だった事は

間違い無い。

又、習甦は去年から格段に強くなったか?と言われれば、そうでは無い

と思っている。 西尾六段が解説をしていた頃から見ているが、十分に強いソフトである。

 

◆第2局 ○やねうら王vs●佐藤紳哉六段

第一局に引き続き、居飛車 対 振り飛車 の対抗形。

おいらは、対抗形でコンピューター将棋が強い理由とは、

研究が先行しているコンピューターチェスの技術を最大に参考に出来るから

だと思っている。 基本的に振り飛車の玉周辺の駒はパターンが少なく(固定化されやすい)

それに対応する駒の配置を考えれば良いというのは計算力を最も発揮しやすい

部分だと思っている。

佐藤さんの継ぎ歩の見落としは相居飛車なら良くある手筋なのだが、

対抗形で現れる事は少ないのでそのせいなのかな?と思った。

振り飛車党の棋士の活躍は電王戦では厳しいだろうが、

居飛車の様な感覚で振り飛車をやっている藤井九段がどう指すかには興味がある。

 

◆第3局 ○豊島将之七段vs●YSS

大会開始前に最も勝つ確率が高いと思われていた棋士が豊島七段で、

実際、前評判通り勝った訳だが、

△62玉については【将棋】 ソフト貸し出しの是非 - mgudn'sでも書いたが更に一言。

 

第三局終了後、 菅井、豊島が△62玉型を採用して勝利を収めて

コンピューター将棋から学んでいると思われがちだが、

 

実は、優勝賞金1000万の大会の決勝戦で羽生三冠が△62玉を指して勝った

事が先にあって、コンピューター将棋が△62玉を指すからという以前に

棋士なら必ず考えておかないといけない形ではあったのだ。

2014年2月8日 決勝 羽生善治三冠 対 渡辺明二冠|第7回朝日杯将棋オープン戦

豊島さんに関しては、午前中に羽生三冠と対局して敗退。 

決勝はこの対局の解説も一部行っている。

 

おいらは大方の予想とは違って豊島さんは負けると思っていた。(スイマセン<(_ _)>)

理由として、普段の彼はじっくりした指し方を好み、じわじわ優位を拡大して勝利を収めている

印象を持っていたので、こんな激しい将棋で戦うとは思っていなかった。

菅井さんがそのタイプだと思っていたので、豊島さんには良い意味で裏切られた。

 

◆第4局 ○ツツカナvs●森下卓九段

第三局とは逆に戦前に一番分が悪いと思われていた森下さんだが、

おいらは良い勝負になると思っていた。

理由は単純明快。 タイトル戦の経験があるからだ。

一般棋戦と比較してタイトル戦は関わっている人数がべらぼうに増える。

前夜祭に始まって解説会やお世話になる宿の関係者や観戦記者などなど。

そういった周りの期待や思惑を感じた上で、自分の実力を出し切る事は

経験が必要なのだ。

終局後の盤・駒使用の是非はともかく 言ってる内容は他の何人かが同じ事を言っている。


米長邦雄永世棋聖インタビュー 第2回将棋電王戦 ‐ ニコニコ動画:GINZA

  9:20秒頃からの発言 菅井五段の10年後には人間の方が強い発言、

渡辺二冠の 今のTOP棋士が技術的に5割勝てない状況は想像できない

が思い浮かぶ例。

 

要するに、コンピューター将棋は強いんだけど、現状、プロ棋士が知らない

(見落としている含む) 手法があってそれを理解する事で、技術的に

引き離される一方になるとは思えない と言っているのだ。

森下さんは更に強気で今までの技術だけでも十分に勝てると思っている

と言ったに過ぎない。

 

◆第5局 ●屋敷伸之九段vs○Ponanza

 ポナンザの△16香や△79銀の攻めや敗着となった81成香がクローズアップされているが

実際、屋敷さんの最大のミスは53手目の65桂だったと思う。

跳ねた桂馬をただで取られてしまった訳で、その後に94歩と端攻めをするのなら

桂馬は85の方が効いている。

ミスと認めた上で、それでも攻めるなら端しかなかったのかも知れないが、

その後の展開でも形勢は難しいと言われている以上、52手目までは屋敷優勢だった事

までは確定したと言って良い。

 

電王戦第5戦。

2014-04-12 | 将棋
 

ニコ生に出た後は将棋会館に行って検討していました。△16香や△79銀など、人間には浮かばない手がいくつか出ました。これが最善だったかどうかは今は分かりませんが、とんでもないものを見た、という気分です。詳しくは取材を受けたりすると思いますし、週刊新潮のコラムでも取り上げる予定です。

 

 

 

また、角を取って成香が玉を追い寄せた末の△79銀は

【将棋】 Ponannzaの作り方 - mgudn's でも述べたが玉の回りの駒を取る事を優先する

ポナンザの癖(トータルバランスでの特徴)が出た指し手だったと思っている。

 

渡辺二冠の 『 とんでもないものを見た 』 という発言を変な切り取り方をしている記事も

見かけましたが、人間との感覚の違いを指摘している発言だと思われる。

特に△79銀はこう考えれば良い。

 

二人で殺し合いをして、相手(屋敷玉)を逃げ場の無い隅に追いやっている状況。

手元にはナイフ(銀)、足元には石礫(歩)この時に

先にナイフを投げる(△79銀)のは無いんじゃないの?と渡辺二冠は言っている訳だ。

ナイフが必ず当たって相手を倒せるならまだしも、避けられる(97玉)しねぇ。

それなら先にバリケード(△96歩)を作って更に追い詰めたり、少し離れた場所にある

拳銃(角⇒馬)を手元に持ってくる方が先なんじゃないの?

ポナンザは世界最強クラスと聞いていたのに、こんな戦い方を選ぶんだぁ・・・って感じ。

 

そりゃ 『 とんでもないものを見た 』 って言うと思うわww

 

後、△16香に関しては、攻めの手ではなく、受けの手で見た場合、

73手目の段階で、屋敷さんの持ち駒の飛車二枚を有効に使えそうなスペースは無く

間駒要員の桂馬は使い辛い。

 

 

さて、第三回電王戦を見て感じた事は、やっぱり技術的な勝負では

プロ棋士とソフトはかなり似通ったレベルにいるという

おいらの戦前の予想から1ミリも変動が無かった。

間違いなく言える事は、解説に来ていた船江さんのコンピューター将棋が指してくるであろう

手の予測が、格段に上がっていた事である。

 

 開幕以前にルール作成について

電王戦ルール - mgudn's で書いたが、やっぱりというか、当然というか

f:id:mgudn:20140421201402j:plain

 これが実現された。

なので、当然ながらクラスタ化をOKする電王戦はタイトルホルダーとの番勝負という

スペシャルイベントをやらない限り無い。

 

コンピューター将棋の特徴を電王戦参加棋士以外にも、それなりに理解が進んでいる

状況なのは間違いない。

しかし、出た棋士と出ない棋士との認識はまだ大きく、この差が少なくなる様

連盟には手を打って欲しいものだ。

具体的に言うと、練習対局で出場棋士が逆転負けをしたと感じた棋譜

収集しておいて、棋士間だけで良いので公開すると良いと思う。

 

そここそが、棋士が知らない手筋が埋もれている可能性が非常に高く、

棋士のサポートと言う意味ではかなり大きい部分になると思う。

それは公表する必要は無く、イベントで棋士がコンピューター将棋の指し手について

語ったりする際に資料として一部使ったりすれば良いと思う。

 

当然だが市販のソフトとの対局まで範囲を広げる必要は無い。

 

前回の阿部さんの取り組みや今回の豊島さんの対応はプロとして

素晴らしいとは思うものの、負担が大きすぎる様に思う。

連盟として出場棋士に負担を軽減する策は是非取って欲しい。

場を整えて後は、対局者にお任せという対応では足りないとおいらは思う。

通常、技術を習得するに当たっては長い年月を要する。

個人に任せて技術習得を促すのでは、コンピューター将棋の進化に追いつける訳が

ないので、逆転負けの棋譜棋士の共有財産にするべきだと述べたのである。

 

 

電王戦は、将棋に興味の無かった人にも訴えれたコンテンツなので、

従来の様な書籍によるものだけではなく、その場で質問も受け付けれる

将棋イベントでこそ話題にするべきで、棋士の対策の考え方やコンピューター将棋の

具体的な良さを語る場を、連盟主導で開催するべきだと思う。

又、その際にはソフト開発者も可能なら一緒に出て頂いたりして、共存共栄の形を

模索しつつ、その過程も広く知らしめるべきだと思う。

 

 

大事な事は、 違う技術を持った強いソフトが現れたのでプロ棋士全体が

その技術を解明したいと望んでいる事を強く訴えるべきだと思う。

勝敗が重視される事は重々承知しているが、プロ棋士として

我々が知らない将棋の技術が有る事を知る機会が無くなる事の方が耐え難い。

だから次回も電王戦を行う! ぐらいの事を谷川会長に言って欲しいものです。

 

その上で、今は曖昧になっている対局時の電子機器の持ち込みに関する

規制をきっちり作る事も必要になって来ているでしょう。

 

将棋は最終的に自分の予想しない展開になるので、TOPの棋士や、TOPを目指している

若手の棋士カンニング的な事をやる事は無いでしょうが、

(そんな事をやれば困った際にすぐ頼りたくなってしまうでしょうから)
ソフトは中位以上と言ったからには、下位の棋士に関しては有効だと認めたも同然なので
なんらかの施策は必要でしょう。

 

単純にどちらが勝つのかとか、前回と合わせて2勝7敗1分け  なのだから負けを認めろ

だとか、タイトルホルダーを出せ  などという意見がある中で、勝敗だけに

スポットを当てる手法ではこの先長く続ける事は出来ない。

 

連盟の舵取りにも注目したいと思います。

【将棋】 ツツカナの作り方

これまで、ツツカナの事をプロ棋士は 『 筋が良い 』 と何人かが発言している。

それと電王トーナメントで長考から詰みを発見した事実とを併せて、

ツツカナのプログラムの中身を考えてみる。

 

ツツカナはコンピューター将棋選手権の中でも異質で、

TOPクラスのソフトがPCを並列に繋いで読みを深くしている時代でも

ノートパソコン1台で出場していた。

 

それでも総合で上位に居る事実は何を表しているかと言うと、

他のソフトと比べて何か違うアプローチをしているのであろう。

 

例えば、相掛り や 横歩取り で現れる 24歩 ⇒ 同歩 ⇒ 同飛車

の場合一般的なソフトが 

①24歩 で読む ②同歩で 相手側の応手を読む ③同飛車 で再度読み直す

作業をしていると思うが、ツツカナは①駒がぶつかった局面 ②それの応手 ③清算した局面

こういう考え方に近いのだと思う。

 

具体的に言うとツツカナというソフトは、駒がぶつかった場合、その駒を取って悪くなるか

を探索の基本にしている様な気がする。

 

駒を取って悪くなる様なら取らずに他を探す。

中終盤でぶつかった駒の枚数が多くなっても基本はどの駒の清算を優先するかを

考えているのであろう。

言い方を変えれば駒の効率を重視した設計になっていて、

ツツカナが穴熊を使う展開をあまり見ない事もそれを裏付けると考えている。 

 

処理の高速化というのはプログラムを省略したり

高速化用のプログラムを実装したりとある程度、道筋は出来ていて(他分野の流用)

そこを変えたからプロ棋士から褒められるという事は起こらないと思うので、

探索の方法が他のソフトと違うのではないか。

 

そして私の推論に近ければ、計算量はかなり減ると思うんだがどうだろう?

 

又、 ① ⇒ ③ ⇒ ⑤ ~ の様に局面毎の比較で点数が上がって行く場合には、

更に読みを深める事をプログラムに加えていて、

それで長考から詰みを探す作業が出来ている様に思う。

終盤で詰みを見つける際にニコ生等の解説で出てくる、

△△の地点でばらして詰むかどうか考える様な事を行えているのではないか 

  ↑ココは似て非なるアプローチだった 一丸さんHP見た結果

 

以上、筋が良いと言われる事と長考から詰みを発見した事実

 (探索の深さを一局中に変える事が出来る)を基に考えると、この様な結論が導き出された。

 

合っているかは当然知らねぇw

 

UPする直前に ” トーナメント ツツカナ 棋譜 ” で検索して見直そうとした所

一丸さんのHPを発見し

第二回電王戦 QandA - コンピュータ将棋開発中

どの手をどの程度深く読むかをプロの棋譜をもとに自動調整している。

という事でした^^;;;

 

という事で、余り意味の無い事を考えてしまいましたが、

ツツカナというソフトの特徴として

駒の取り合いで悪くならない事を重要視している。

それは攻める場合も受ける場合も同じである。

駒の連結より効率・バランスの方が上位に来る。

従って穴熊を選ぶ事は少ない。

 

こんな感じでしょうか?

間もなく第四局開幕!!

【将棋】 局後学習と言う名の幻想

やねうら王というソフトに搭載される局後学習というプログラムが話題だ。

イデアとして秀逸だと思うし。

但し誤解を産んでいるプログラムであるとも思う。

 

 電王戦の様な短期の貸し出しに対する対抗策としては良く出来ている。

ところが、敗着となった手を避けて次は同じルートを通らないと言うのは

一見強くなる様に思われるが、それを認定するのが誰なのか?

でかなり違う。

人間(プロ棋士レベル)ならそもそも定跡の入れ方を戦型別にやれば良く

ソフトが自動で修正するのであれば、評価関数や探索の深さを変える事が出来ない事になる。

 (評価を変えればそもそもその局面にならなかったり、候補として違う手が上位に来る

  探索が深くなれば評価も変わるし候補手も変わる)

ガタッっと評価が下がった指し手を敗着と認定するとしても、

どこまで遡って手を変えるのか?というのも非常に悩ましい問題である。

仮に、数兆局単位で集計した場合はかなり前に遡る事になりそうだしね。

 

まあ、問題点はありつつも、現在のコンピューターが自動で定跡を作る事が出来る

という意味では非常に興味深いのも確かで、これは大学とかの研究者向きの

プログラムなんだろうなぁ~と感じている。

 

局後学習を利用して、それなりの手数までコンピューターが作り上げた定跡データを

別の(新しいVer.の)ソフトに搭載するのも面白い試みだと思う。

 

やねうら王氏が目指している方向としてはこちらだと思うのだが、

結局、集計をどこで止めるのかという問題は付いて回るので

そこに人為的な力が加わるのは可能な限り避けて欲しいとは思う。

 

イメージ的にアニメやマンガのような一度見た技は通用しないぜ!

というようなものではなく、コンピューターが独自に新たな定跡を作る

というプログラムなので、変な勘違いはしないようにw

【将棋】 ソフト貸し出しの是非

第三回電王戦第三局で豊島七段が快勝した事で

再び言われる事が増えるであろうソフト貸し出しについて。

 

この所、電王戦のエントリーが続いているが、 『 羽生さんの強さに迫る 』 

という内容で書きたい事が前からあって、そこに対局における事前準備についての考察

というトピックで書く内容と多少被る予感がするが、まあしょうがねぇ。。。

 

 

おいらは基本的に貸し出しは必須と考える。

GPS将棋が神格化されすぎている風潮 - mgudn's

以前書いた様にコンピューター将棋のレベルは出場ソフト全てプロ棋士

良い勝負をするし、ソフト間の差も戦型がランダムで選ばれる事が多い以上

一方的に勝てる程、離れてもいない。

 

 現状、プロ棋士側はタイトル戦並の舞台でやるプレッシャー、

人間には思いつきにくい手を指される事、

負けるとプロ棋士の存在意義に関わるという不安を持って対局している。

 

又、開発者側はプログラムが不備なく終える事、

プロ棋士の定跡の進化に怯えている。

その上、現在のプログラムの強さに対する認識が低すぎる。

 (三浦さん相手に完勝出来る棋士などほんの数名だけである)

 

どちらが強いのかという事を別にして、少なくとも良い勝負をするのは

間違いない訳で(実力が近い)、そうなると無策で対局に臨むというのは

もう、有り得ない。

 

ここが難点なのだが、コンピューター将棋の場合

プログラムに手を加えると、以前の性格?とはまるっきり別の物になりかねない部分があって

実際問題、本番と違うもので研究する事に意味があるのかどうかさえ怪しい。

 

阿部、豊島の勝ちを嵌め手と言うなら、ツツカナの74歩も嵌め手だし

Puelaα の代わりにボンクラーズを貸し出すのも嵌め手でしょ。

 (貸し出したソフトでの研究を無意味にする意味での嵌め手)

 

そうなると人間が短期間で急激に変わる事は少ないので

ソフトを固定する事に行き着くのではないだろうか?

 

なぞり将棋 - mgudn's  を心配する方にはこう言いたい。

第二回の阿部四段は将来有望です。

プロ入りの年齢が16歳5ヶ月というのは史上6番目の若さで、

若年でプロ入りした方は前例だとタイトルを獲得しています

  (但し、凄く近い年齢で佐々木勇気五段がいて彼が阿部四段より若くプロ入りしている

   ので佐々木が阿部を圧倒する事でタイトルには届かない可能性も多少有る)

その彼が練習で数百局、本番と同じ持ち時間でも多数指した上で

対局に臨んだにも関わらず、本番では違う進行になったのが事実である事を。

そこから自分の想定局面に近い場面に持ち込んだのは阿部四段の技術です。

 

先日の豊島七段で言えば 62玉の局面では、

前例が後手の2勝0敗だった局面で、先手を持って勝った

事が事実であり、YSSを貶める必要は全く無いのである。

 

コンピューターには先入観が無いのに、それについて人間が先入観で語っては

正しく評価できないのではないでしょうか?

 

 

第二回の時はまだ世間の認識として力関係を断言出来る程の物証が無かったので

貸し出さないという展開もあり得た。

繰り返すが、三浦九段相手に無策で勝てる棋士などほんの数人である事は間違いなく、

GPS将棋がコンピューター将棋選手権を無敗で優勝した訳でもないので、

ソフトの実力はプロ棋士と、どちらが上か判らないぐらいには近い事を前提とすると、

貸し出さない場合はもはやプロ棋士ハンデ戦になります。

 

第二回電王戦ではどちらが強いか良く判らなかったのでソフト有利のルールで行った。

結果 、実力的に差は無いので、ソフトの有利な分だけ差し引いた。

第二回からすると棋士が有利になった様に思えるが、冷静に見て

公平に近付いたとも言えると思います。

 

一部で順位戦やコンピューター将棋の参加する棋戦が見たいとの声を聞きます。

しかし、残念ながらその場合ほとんどの棋士入玉から駒取り合戦をして勝つと思います。 

又、そうしない棋士はプロとして失格とも言えます。

見て楽しい勝負にはなりませんので空想だけに留めておきましょうw

 

棋力がどちらが上なのかはこれからの電王戦で更に明らかになるでしょう。

コンピューターによる新手も現れると思います。

我々はそれを楽しみに見れば良いのです。

こういった時代の転換期に生きているのは単純に面白い。

【将棋】 Ponannzaの作り方

第三回電王戦イベントでアマチュア相手に166連勝を達成したPonannza

 

今回は電王として登場し、一般的にはソフトの中でも最強クラスと思われている。

 

 Ponannzaの特徴としておいらが挙げたいのは必ず攻めてる!印象がある

これに尽きると思う。

 

玉形が悪い事を厭わず、先行されても反撃のタイミングが他のソフトより早く

負ける場合は攻めが切れてカウンターを喰らって負ける。

 

本日の 豊島七段 VS YSS の戦では、たまにコメントで流れていた

GPS や 激指 の評価より上がるタイミングが早い事を確認できた。

 

では 何が違うからそうなるのかと考えて思い当たる事がある。

 

評価関数の項目の中で、

敵陣と自陣の陣形点(評価)の差を付ける事に重きを置く

 

これだけでPonannzaに近い物になるのではないか?

 

指し手で言えば双方金銀3枚の囲いだったとしてを相手を2枚に減らす事を優先させる

勿論、大きな駒損は嫌うがそれなりなら特攻するw

あるいは駒の連結を自分より悪くするでも良い。 

 

だから攻める順を優先的に考える様になる。

 

精査してないのだが、166連勝の時も相穴熊が多かった印象だしね。

 (ポナ熊強ぇ のコメントを何度も聞いた)

 

Ponannzaの指し手を読む場合はそんなイメージで読めばそれなりに当たる気がする。

 

おいらにとっての電王戦は第二回で感じていた事を

理論的に再検証する場になっていて、勝ち負けを超えて楽しませてもらっている。

 

勝負ではなく コンピューターとプロ棋士の棋力(読み)を比べると

阿部・佐藤慎・船江・豊島が勝ち

塚田・三浦・菅井が負け

佐藤紳 は勝ち寄りの負けになるのでは無いかと思う。

 

と言う事で おいら判定だと 4勝4敗の五分

 

コンピューター将棋の限界

 

結論から言うと

 

コンピューター将棋がどれだけ強くなったとしても道具である事から抜け出せる時は来ない

 

当たり前の事を言っている様に思われるだろうが、結構勘違いされていると思う。

 

・例えば入玉将棋に対応できる様になればプロを遥か超えて強くなる

 

だが、なぜ対応出来ないかの本質を間違えているとおいらは思う。

入玉すると別のゲームになるからでは無く、思考の切り替えが出来ない事に起因する。

これ以上でも以下でも無い。

 

なので、実は 序盤 ⇒ 中盤 ⇒ 終盤 の切り替わる指し手の時に

判断を間違えているけれど、それを下せる人間は少ない上に、

プロ棋士レベルの人からすれば、たまに変な手も指すけど

結果的に強いぐらいにしか思っていない気がする。

 

 

序盤 ⇒ 中盤 の典型的な例が先日の対 やねうら王の 39手目 86同角

      一部のソフトで向い飛車に弱いのもこれに当たる。

中盤 ⇒ 終盤 では 船江5段戦の 銀捨て

      更に やねうら王戦 70手目の 63香 に対して 31角成 

      と出来ると思っていたのも同様だと思う。 

      ツツカナも同じ考えをしていた事も見逃せない。

 

入玉に対応出来ない事と原因は同じなのでこれも直る可能性は低い。

ただし、終盤の頓死は無くなる可能性はある。

 例えば詰みを探す時に、何の駒があれば詰むかも同時に探索させ、

 その結果に基づいて指し手を変える様なプログラムを追加すれば回避できそう。

 マシンパワーが必要なので、世界コンピューター将棋選手権向けの機能ではあるが・・・ 

 

ポイントは一手でいきなり場面が変わる手を指した時に起こり易い。

なので駒組みから開戦する時や、中盤から大駒を切って寄せに出る場合は

一瞬前の局面と現在の局面の認識にずれが出易いと思われる。

 

もう一点、 自身の評価関数で点の高い物を積み重ねる事しか出来ない点

がマイナスになり得る。

 (将棋には手得を重ねた方が指し手に困る場合があり、

  そんな時も間違えるかも知れない。)

 

コンピューター将棋が無理攻めする(場合があると思われている)

原因は、おいらはこれにあると思っていて

 

駒組みで高い点数を付ける手が無くなって相手の攻めを待つ様な状態で、

攻められる事で自陣の評価が下がるので事を避ける為、攻撃の手を選ぶ事で

プラスの評価が長く続く様にしているのだと考えている。

 

難易度は上がるが一見意味の無い味付けにも対応出来ない様に思う。

例として今期の王将戦第三局の 44手目 66歩 

 (この対局で羽生三冠が一番時間を使った手で超一流にしか出来そうに無いのが玉に傷) 

手順を工夫すればコンピューターの認識を狂わせる可能性はあると思う。

 

 

次は 読みが深くなれば強くなるという点

 

おいらは将棋の決着は結果論でしか語れないと思っていて、

良く見かけるパターンとして、端歩の有無 や 飛車・角の 打つ場所

これらは、最終的にそこが勝敗を分けただけであって、

予想して選び取れる類の物では無いのではないかと思っている。

 

例えば現在 20~30手先を読めるコンピューター将棋が

この先 50~70手読める様になると

勝ちも負けもあり過ぎて選べなくなり、今より序盤がグダグダになるか

自身に都合の良い検索結果を上位に持ってくるが、

実現されずに正確性が落ちるかのどちらかになる様な気がする。

 

又、仕掛けに関してはある意味現状の先は判らなくても特攻するという

コンピューター将棋の強みが消える可能性が高い。

 

これらを総合した現状判断が コンピューター将棋同士の戦いは

先に仕掛けた方の勝率が高い  である。

 

現在のコンピューター将棋は全幅検索を導入して(Bonanza登場)

アマチュア上段の壁を越えたのだが、

検索の枝刈りをして良さそうな部分を深く読む様にしている事は、

技術的には合っているけれど本質的には間違っている様な気がする。

 

もう一点付け加えるなら、 研究が先行しているチェスの技術導入。

これも良い部分と悪い部分があるので、

この部分の変更が無いと更なる強さは望めないのではないか?

  但し、対抗形に強い 矢倉が強い 等はこの部分に起因している節もある。 

 

 

道具は思考しないので人口的に知能(に似たプログラム)を与えても

どこかに歪みが出る。

その歪みがどこに起因する物かを考えれば、人間 対 コンピューター将棋は

まだまだ長く続く可能性は高いのではないかと思う。

但し、人類がもう勝てないと世間的に認知された後でしか

プロ棋士側の巻き返しは無いだろうと思う。 (負けられないプレッシャーがきつい)

 

総合すると、チェスがそうである様に

人間のプロが勝てない様な状態になっても、未だ局面の切り替えに付いていけていない

弱点は治っておらず、現在も 人間 + ソフトが最強というのは

その事実を肯定するものと考える。

 

追記 電王戦Final前

チェスの世界ではコンピューター単独の方が強く、人間が加わる事で

弱くなってしまうそうです。

チェスを持ち出した上記の内容は取り消しですね。

但し、現状でも入玉形で指し手がgdgdになるのは修正出来ていない

プラス、形成判断が一気に+⇒-に変化する事から 

良いから悪いにしか変わる事が無く、悪いかもしれないと言う中間部分が

無い事は、どうにも直しようが無い問題だと思うので、

やっぱり将棋というゲームをコンピューターが極めるには

どこかで限界があるのだと思います。

 

 

追記 電王戦豊島戦後

豊島七段が終局後のコメントで上記内容と似た発言をされていました。

自分から仕掛ける、時間管理を徹底して、しかも大事な局面で時間を使えていた。

戦前の取り組みが半端ねぇ ;-ロ-)!!

 彼が回りの棋士からの評価が高い理由が、誰にでも判る形で伝わったと思います。

おめでとうございました。

コンピューター将棋の現在・未来

現在言われている基本的な事

 

・プロ中位以上の強さはある。(三浦・菅井に勝利)

・詰め将棋は数秒で解く

・中終盤が強い

入玉に弱い

・序盤は微妙な時もある

・無理攻めをしてくる時がある

・人間では盲点になりやすい手を見つける

・Bonannza出現・クラスタ技術の搭載によって強くなった

 

こんな所でしょうか。

 

余り知られていない部分として

・頓死する

・可能な限りの全ての手を読む ⇒ 有効そうな手を深く読む

・コンピューターチェスの技術を使っている

 

追加で私見ですが似たレベルの強さのソフト同士の対戦の場合

先手後手の区別無く先に仕掛けた方の勝率が高い

 

将来的に見込まれている物

・CPUの進化やクラウド技術によってより深く読める様になるので更に強くなる

・形勢判断の最適化を進める事でそれなりの上積みが見込める

・現状の技術だけでは更なる強さを得る事は出来ないと思っている開発者が多い